高額療養費制度とは?払い戻しの仕組みと申請方法
2026年10月時点
高額療養費制度は、医療費の自己負担が家計の重荷になりすぎないよう、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が同じ月の上限額(自己負担限度額)を超えた場合に、その超えた額が支給される公的な仕組みです。上限額は年齢や所得に応じて決められています。厚生労働省によると、令和8年8月からの制度では、70歳未満で年収約370万円〜約510万円の方が医療費100万円の治療を受けた場合、自己負担は原則として約9.3万円までに抑えられます(2026年10月時点、厚生労働省資料より)。申請をしないと払い戻しを受けられない場合があるため、対象になりそうな月がないか確認してみましょう。
ポイント
- 対象は健康保険が適用される診療の自己負担分です。保険外併用療養費の差額部分(差額ベッド代など)や、入院時の食事療養費・生活療養費の自己負担額は対象になりません。
- 上限額は「70歳未満か70歳以上か」と「所得区分」によって決まり、同じ月(1日から末日まで)の自己負担額で判定します。
- 直近12か月の間に高額療養費に該当した月が3か月以上ある場合、4か月目からは上限額がさらに下がる「多数回該当」の仕組みがあります。
- 令和8年8月から、8月から翌年7月までの1年間の自己負担に上限を設ける「年間上限」が新設されました。協会けんぽでは、年間上限額の申請受付は令和9年8月から開始される予定です。
- 同じ月に家族それぞれが受診した場合などは、一定の条件で自己負担額を世帯で合算できます(世帯合算)。
申請の流れ
- 加入している保険者(協会けんぽ、健康保険組合、市区町村の国民健康保険など)を確認します。マイナ保険証の利用登録がお済みの方はマイナポータルで、お済みでない方は資格確認書で確認できます。
- 保険者の「高額療養費支給申請書」を入手し、診療を受けた月や医療機関、支払った金額などを記入します。協会けんぽでは電子申請のほか、加入している都道府県支部への郵送でも提出できます。
- 審査のあと、上限額を超えた分が指定した口座に支給されます。協会けんぽの場合、高額療養費を受ける権利は診療月の翌月1日から2年で時効になるため、期限内に申請しましょう。
必要なもの
- 健康保険高額療養費支給申請書(加入している保険者の様式)
- 低所得者の区分に当たる方は(非)課税証明書(協会けんぽでマイナンバーによる情報照会を希望しない場合)
- 申請書にマイナンバーを記載した場合は本人確認書類(協会けんぽの紙申請の場合)
よくある質問
Q. 入院中の食事代や差額ベッド代も払い戻しの対象になりますか?
対象になりません。高額療養費の対象は保険適用される診療の自己負担分で、保険外併用療養費の差額部分や入院時の食事療養費・生活療養費の自己負担額は含まれません。
Q. どのくらい戻るのか目安を知りたいです。
例えば協会けんぽで70歳未満・標準報酬月額28万〜50万円(区分ウ)の方の場合、令和8年8月〜令和9年7月の上限額は「85,800円+(総医療費−286,000円)×1%」です。総医療費100万円・窓口負担3割(30万円)なら上限額は92,940円となり、差額の207,060円が支給される場合があります(2026年10月時点、厚生労働省資料より)。実際の金額は所得区分や加入先によって異なります。
Q. 窓口での支払いを最初から上限額までにすることはできますか?
マイナ保険証を利用するか、事前に「限度額適用認定証」の交付を受けて提示すると、窓口での支払いを月ごとの上限額までに原則として抑えられます。
出典
厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」全国健康保険協会「高額な医療費を支払ったとき」全国健康保険協会「健康保険高額療養費支給申請書」厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」